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人事担当者の8割が『即戦力』を切望も、時短や多様な働き方にポジティブなのは1割未満

人材不足解決のカギは『人事担当者のマインド変化』にあり!
これまでの価値観にとらわれない、多様な人材の活躍を推進し企業の成長を支援する

人材サービス3社協業プロジェクト「ActivateHR」とは

「求めるスキルを持つ人材が採用できない」「優秀な人材が辞めてしまう」などの“人事課題”、中でも即戦力人材に関する採用や定着、活用や活躍支援に多くの企業が頭を抱えています。
また、「働く」を取り巻く価値観や環境は日々目まぐるしく変化しており、企業は従来の価値観にとらわれず、スピード感をもって対応していかなければなりません。変化なくして、優秀な人材に活躍してもらうことは難しく、企業の成長はおろか、存続さえも危ぶまれかねないと言われています。
そんな中、「HRの“あたりまえ”をアップデートする」をキャッチに、パーソルテンプスタッフ、ビースタイル、リクルートスタッフィングの人材サービス3社が「ActivateHR」という協業プロジェクトを立ち上げました。
競合である3社が手を組み協業するこのプロジェクトがどのような経緯で発足し、何を目指すのか、各社の担当者にお話を伺いました。

 

HRの“あたりまえ”をアップデートする 「ActivateHR」

─3社による協業プロジェクト「ActivateHR」の概要と、競合でもある3社が協業プロジェクトを立ち上げた経緯を教えてください。

浅香侍郎氏
(以下、浅香)
「ActivateHR」の「HR」はHuman Resourcesの略で、一般的には人事と訳されることが多いと思います。私たちはこのHRを、人事だけでなく、働く人そのものや働く環境、制度、仕組み、考え方など、広い意味でとらえており、それらを「Activate」=活性化するためのきっかけになりたいと考えています。
イベントやホームページ、勉強会などを通じて、企業の成長や人と企業の在り方に関する気付きやヒントを提供し、これまでの価値観にとらわれない、新しい働き方や働く場所、機会の提案を通じて、企業の成長と多様な人材の活躍支援を積極的に行っていきたいです。

そのためには、1社の働きかけでは限界があると感じ、我々パーソルテンプスタッフに加え、ともに多様な人材の活躍や企業の成長を支援する、ビースタイル、リクルートスタッフィングと競合の垣根を越えてプロジェクトを発足するに至りました。

パーソルテンプスタッフ株式会社(FlexibleCAREER)
ダイバーシティ第一事業部 部長
浅香侍郎氏
宮内修氏
(以下、宮内)
今は、テクノロジーの進化やマーケットの変化、人口減、働き方の多様化、意識の変化など、様々な変化が訪れているわけですが、企業の採用や人材活用に関するベース、制度や風土などを含めた様々な“あたりまえ”も変わっていかなければならないと思います。
しかし、ここがなかなか変わらない。変われない。働く側・求職者の急激な変化と、企業のHRの実情にギャップが生まれている。それは、各社サービス展開をしていく中で実感をしています。
浅香 多くの企業、特に中小企業が抱えている「求めるスキルを持った人材がなかなか見つからない」という課題と、多様な働き方を希望するハイスキル人材の間にあるギャップを埋め、多様な人材の活躍に繋げていきたいというところが出発点です。「人材採用難」に悩んでいる多くの企業に向けて、新たな人材採用や活躍のカタチを提案し、企業成長につなげていけたらと。
大塚綾乃氏
(以下、大塚)
例えば、我々は「時短×ハイスキル人材」というサービスを各社で展開していますが、企業における採用では「週5日×フルタイム」がまだまだ大前提にあります。時短人材=サポート業務という先入観から、高いスキルを持っているにもかかわらず、検討のテーブルにも上らないケースが多いのも現状です。この先入観は、時短人材だけでなく、就業形態や年齢、性別、国籍などについても同様で、多様な人材の活躍を阻む要因になっていると感じました。多様な人材が多様な価値観を活かしながら活躍し、企業の人材不足解消や成長に寄与するためには、個社のサービスの枠を越え、先入観を取り除くための活動や推進を行っていく必要性を感じ、3社でのプロジェクト立ち上げに至りました。
宮内 まずは、 「時短×ハイスキル人材」の活用に関する発信からはじめ、多様な人材活用をポジティブに、“あたりまえ”にするHRのアップデートをしていきます。学生からシニアまで、多様な人材の活躍を支援し企業の成長を支援する私たちだからこそできる、企業に対する新しいアプローチです。第1弾では、世の中が抱く“時短人材”へのイメージを変える、をテーマとしており、意義のあるアクションになると感じています。

 

人事担当者の8割が『即戦力』を切望も、時短や多様な働き方に
ポジティブなのは1割未満

─“多様な人材活用をポジティブ”に、とのことですが、企業側は「時短人材」に対してどのように感じているのでしょうか?

大塚 我々3社は2019年7月、企業の人事担当・責任者を対象に調査を行いました。現在の採用課題においては80%もの企業が「求めるスキルの人材が見つからない」という回答で、他の理由と比べても突出した課題であることがわかりました。にもかかわらず、“高いスキルやキャリアを持つ即戦力人材を、フルタイムでなく短時間就業で獲得する人材活用”について興味度を聞いたところ、「非常に興味がある」が6%、「興味がある」は33%という結果でした。
まったく興味がないというわけではありませんが、ポジティブと言えるのは6%。現状では「即戦力人材」が欲しいが、「時短」という条件が加わると、ポジティブなのは1割に満たない、というこのリサーチ結果が現実だと思います。

■ 人材獲得において企業が抱えている課題

 

■ 高いスキルやキャリアを持つ即戦力人材を、
フルタイムでなく短時間就業で
獲得する人材活用に関する興味度

 

浅香 「時短×ハイスキル人材」の活用にはポジティブではない、という結果の背景には、就業規則や人事評価、マネジメントなど、すべて「フルタイム社員」を基準に作成されているということがあると思います。加えて、時短人材=コア業務ではなくサポート業務に、という見えないルールや風土がある企業も多いかもしれません。「時短×ハイスキル人材」に活躍してもらうためには、既存の制度や価値観を大きく変える必要があり、それには、かなりの労力も時間も要します。これまで当たり前だった「毎日同じ時間に全員が出社する」「勤務時間は席にいる」「コア業務はフルタイム社員が担当する」という前提が崩れるので、不在時の対応をどうするのか、ちょっと聞きたいときに声をかけられない、などマネジメントやコミュニケーションの問題も出てきます。そういった様々な障壁がクリアにならないと、なかなか受け入れづらいのが現状であり、制度の整備とともに、見えない当たり前を取り払うことが最重要だと感じます。
大塚 確かにそうですね。しかし、“時短で働く人はオペレーションやサポート業務”という時代は終わり、今はキャリアやスキルを活かした職種、仕事で活躍する、企業も戦力化している事例が徐々にではありますが、増えてきています。「時短×ハイスキル人材」のサービス利用意向を聞いたところ、「ぜひ利用したい」と「利用したい」の合計が52%に達しており、戦力になるなら受け入れてみたいという意向があることがわかります。とはいえ、企業にとって、そういった人材を活用した前例がないため、「時短で大丈夫?」という風に思われるところは実際多いですよね。根本にあるのは「受け入れてみたいけれど、前例がなく不安」という人事担当者や受け入れ部署の心理的な障壁で、それらの方々の「マインド変化」が進めば、制度の整備などは一気に進んでいくのだと思います

 

■ 高いスキルやキャリアを持つ即戦力人材を、
フルタイムでなく短時間就業で
獲得する人材活用に関する利用意向

 

宮内 実際、一度受け入れていただければ「こんなにすばらしい人材がいたんだ」と評価され、時短による懸念点も払拭されて、受け入れ拡大につながることが多いです。こういった人材を獲得する、活用することで戦力化し、成功している事例から興味を持っていただき、「あの会社が成功したならうちもやろう」という発想につなげてもらえれば。

株式会社ビースタイル(スマートキャリア)
常務執行役員
スタッフィング事業本部 本部長
宮内修氏
浅香 期間限定の短期で人事労務の経験がある人材を紹介したところ、その専門的な能力を買われて長期契約につながったこともありました。人材がプロフェッショナルなので、生産性がとても高く自律している。限られた時間の中で、フルタイムと同じ、もしくはそれ以上の結果を出す方が多いんですよね。
宮内 われわれも“自走型人材”というキャッチコピーでお客様に提案しているので、自走できる優秀な人材が多いのは、各社の「時短×ハイスキル人材」の共通点ですね。派遣からスタートして、直接雇用に切り替わるケースも少なくないです。派遣という形態は、まず試してみたい企業にとって理にかなっていると思います。専門分野で10年、20年仕事をしてきた方々で、管理職も経験している人もいます。派遣という形態は、まず利用してみるスタートには企業にとって使いやすいと思います。
浅香 私たちのサービスも派遣だけではなく、紹介予定派遣や直接雇用の人材紹介も、幅広く対応していますし、雇用形態問わず、その企業の戦略にあった多様な人材の活躍を、このプロジェクトの中で提案していけたらいいですね。
大塚 働き方の選択肢を増やすのは、企業成長にとって不可欠な要素ですよね。何より、国籍、年齢、性別、価値観や地域にとらわれず「いろいろな人が働ける」という企業でなければ生き残ることができない時代が到来しつつあるように感じます。

 

人材不足解決と企業成長には「多様な人材活用」ができる
組織へのアップデートが不可欠

─「ActivateHR」の今後の取り組みと展望を教えてください。

大塚 第1回として2019年9月19日に「成功企業から学ぶ! “採用難”はウソ?! ~採用・定着をアップデート~」と題したイベントを開催します。組織や人材育成の専門家による基調講演や、戦略的に多様な人材を活用することで、求める人材の採用、活用、定着に成功している企業の事例、またパネルディスションを予定しています。

株式会社リクルートスタッフィング(ZIPWORK)
エンゲージメント推進部 部長
大塚綾乃氏
宮内 週5日×フルタイムを前提とせず、企業戦略に合わせて、時短勤務や副業を希望する人材の採用や、業務委託契約など、採用手段を複数持つ必要が出てきていると思います。しかし、まだまだその必要性や発想を持っている企業は限られている。その事例や戦略の部分を是非ヒントにしていただければと思います。
浅香 採用課題、人材課題を解決し、多様な人材が活躍できる組織になるためには、採用だけではなく雇用の在り方や制度など幅広いジャンルでのアップデートが必要です。人材サービス会社だからできる、企業課題を取り巻く様々な角度・テーマで、継続的な発信をするプロジェクトにしていきます。過去10年とこれからの10年では、採用や雇用など「働く」に関する変化のスピードはけた違いと予想され、これからの社会において、スピード感をもって変化し続けられる企業だけが生き残れるといっても過言ではないと感じます。人材採用・活用の新しいカタチをお伝えしていきたいですね。
宮内 経営者や管理職など、自分たちの会社をもっと成長させたい、100年続く会社を作りたいというビジョンがある方に参加していただけるとうれしいですね。

 

まとめ

人材サービス会社、そして多様な人材活用を推進するサービスとして、企業・サービスの垣根を超えて、その想いとノウハウを集結させた「ActivateHR」プロジェクト。人材業界で同じビジネスモデルのサービスを展開する競合同士が手を組んでのプロジェクトというのは、業界初ではないでしょうか。

「HRの“あたりまえ”のアップデートを推進し、企業がポジティブに多様な働き方を希望する人材を活用する世の中を目指したい。」そんな強い想いを、このプロジェクトを通し企業に発信していくことで、HRに一石を投じ、アップデートを推進する力になるのではないでしょうか。

 

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記事担当ライター

夫馬(ふま)

めったに人前に出ないレアキャラ 元編集長の続木の飲み友