HRテックで新卒採用を変える。~高確率で入社後に成果を出す学生を採用する方法~ 《前編》


今回は、HRテックの分野で、先頭を走るセプテーニ・ホールディングスさんの
「テクノロジーを活用した新卒採用」および、新たに始まった
「オンライン・リクルーティング」について、責任者である
江崎さん、採用担当の斎藤さん、奥迫さんにお話を伺いました。

※記事を前編・後編に分けてお届け致します。

セプテーニ・ホールディングス
株式会社セプテーニ・ホールディングス
インターネット広告を軸としたマーケティング支援サービスなどのネットマーケティング事業と
マンガを中心としたメディアコンテンツ事業などを展開するJASDAQ上場企業。
HRテクノロジーの領域で先駆的な取り組みをしている会社としても知られ
社員の配属や成長に統計技術を活用しているほか、新卒採用においても
AI型人事システムを活用し、定量的な判断手法を用いている。
江崎修平氏

採用企画部 次長
江崎修平氏
34歳 2005年4月入社

斎藤 純平

採用企画部 採用企画課
斎藤 純平氏
29歳 2012年4月入社

奥迫 雄太x氏

採用企画部 採用企画課
奥迫 雄太氏
28歳 2013年4月入社

新卒採用にテクノロジーを活用。曖昧な人の主観からデータ重視の採用へ

宮内 新卒採用はいつ頃から統計データを使っているのですか。
江崎 数年前より本格的に活用を開始しました。
年々データの量も増え、予測の精度も上がっています。
改めて仕組みなどをお話しますと、我々の採用の考え方は
書類や面接による主観判断が中心ではなく、統計技術を活用した
定量的な判断が基軸になっています。

セプテーニグループの採用の考え方

社員データから、当社独自の「活躍予測モデル」というものを作り
それに沿って応募者の入社後の戦力化・定着を予測し、採用の判断に用いています
(図表1)。

【図表1】セプテーニの採用と一般的な採用との違い
20161007_01

セプテーニ・ホールディングスのHPより
江崎 当社には人的資産研究所というヒトに関する研究組織があります。
これは当社の人事担当役員の主導により約10年前に構想され
5年前から本格的な研究活動が行われているものです。
その研究所にて独自に導き出した
「人材育成の方程式」という人材育成の概念がベースになっています。
これは、個性とその人を取り巻く環境が相互作用することで
成長を高めていくという考え方です。
環境とはチームと仕事のことで、その2つと本人の個性の相性が高いほど
成長が大きくなると考えています(図表2)。

【図表2】人材育成の方程式
20161007_01

セプテーニ・ホールディングスのHPより
江崎 この考えに基づき、取り組んでいるのが「相性の定量化」です。
具体的には、株式会社ヒューマンロジック研究所の協力を得て
FFS理論で明らかとなっている関係性のアルゴリズムと
過去傾向より抽出した独自のアルゴリズムを掛け合わせることで
計算方法を導き出しました。(図表3)。

【図表3】パーソナリティを表す5つの因子と4つの性格タイプ分類
20161007_01

セプテーニ・ホールディングスのHPより
宮内 採用だけでなく、人材配置やチームビルディングに
すでに活用して効果があった実績があるわけですね。
具体的には、どのように新卒採用で活用していくのですか?
江崎 エントリーアンケートや性格テストといった、いわゆるデジタルデータから
人的資産研究所の活躍予測モデルに適合させることで大方のパフォーマンス予測が
可能となりました。
一般的な採用のプロセスだとエントリーシートは人事
グループワークは現場の社員、責任者、役員が判断するなど
人の「目利き力」による判断をすることが多いかと思いますが
データで判断することで、活躍可能性のある人材の見落としを防ぎたいと思っています。

志望動機も自己PRも不要。採用プロセス全てをオンラインで

宮内 その他、採用にテクノロジーを使うメリットは何かありますか。
江崎 情報を活用することで、就職採用市場において自分たちの会社の競争力を
上げられるということでしょうか。
大企業と比べると資本力、知名度が劣る我々にとっては、非常に重要なことです。
例えば、これまで地方学生の採用は、交通費・宿泊費をかけて選考を
受けに来てもらうというハードルが高いことが課題になっていました。
それが、データを用いた採用を開始し、活躍予測の精度を
上げることができたことで、2018年春入社から
首都圏、関西圏以外の地方学生を対象に、採用の全てのプロセスがオンラインで
完結するオンライン・リクルーティングをスタートいたします。

セプテーニグループのオンライン・リクルーティングについて

オンライン・リクルーティングでは、エントリー情報を
活躍予測モデルにあてはめて判定した後
リアルで行っていた360°評価と、面接をオンラインに置き換えて
内々定まで全てオンラインで行うというものです。
自宅にいながら選考を受けられるので、交通費もリクルートスーツもいりません。

宮内 学生にとって、テクノロジー活用はどのようなメリットがあるのでしょう?
江崎 まずは物理的制約がなくなることで
交通費、宿泊費といったコスト面の負担がなくなることです。
次に、これは当社の選考を受ける学生全員に共通しますが
過度な就職活動の準備をしなくていいことです。
当社は統計技術を活用しているので、スクリーニングの項目が明確です。
個性、環境、行動の情報で判断するので
いわゆる志望動機や自己PRといったものは必要ありません。

また、過去の統計データが豊富にあるので、パーソナリティから
入社後のシミュレーションを見せることができます。

宮内 ある程度、自分の未来が予測できるということですね。
ちなみにオンライン面接では、誰がどういうことを聞くのですか。
江崎 面接は役員や、人事が行います。
基本的には本人が経験してきたことを聞くようにしています。
大学、サークル、実際にそのなかでどういう行動をしてきたかという
確認を通じて、その人の思考行動特性を理解します。
言語能力に左右されてしまう志望動機よりも、行動の情報を見たほうが
適性が測れると考えているので、志望動機や自己PRはいらないのです。

オールオンラインを武器に地方の「原石」を採りに行く

宮内 地方学生の採用をオールオンラインにしたのは
そのような学生のニーズがあったのですか。
江崎 実は去年、人事のメンバーと地方大学を回って説明会をしたのですが
説明会後のプロセスは「東京に受けに来て」と言っても、あまり集まりませんでした。
学生に理由を聞くと、金銭負担が大きいため、選択肢を絞らざるを得ないと言うのです。
このような制約がかかる状況では、我々は選択肢から漏れてしまいがちです。
ついては、オールオンラインにして「会社に来なくていいよ」と
打ち出すことになりました。
宮内 オンラインだけでも学生との関係は構築できますか?
江崎 最後のフィードバックだけは、僕たちのほうから会いに行きます。
これは「内々定」を伝えるとともに、一緒にキャリアをシミュレーションして
未来を見せに行くためです。
宮内 地方の学生にターゲットを定めたのは、競争優位という事情もありますか。
江崎 はい。首都圏と比較すれば、他社との競争も少ないが
マーケット規模は大きいと思っています。

宮内 実際、優秀な学生さんはいましたか。
江崎 去年、実際に行った感覚でいっても、首都圏と変わりませんし
活躍度の判定においても地域差は関係ありません。
宮内 なるほど、競争率がさがって、良い学生が取りやすいということですね。
一方、地方の学生は、情報の格差という点で、会社の知名度がより
入社動機の強さに比例する気がするのですが、そのあたりはいかがですか。
江崎 そもそも志望動機の強弱が採用可否の判断に
必要な選考設計になっていません。
当社の社員は、学生時代から明確に「これ(事業)がやりたいです」
という人は少なく、むしろ選考プロセスで当社を始めて知ったというケースが多いのです。
これも統計データで検証したところ、事業や業界で絞って就職活動をしていた人より
とりあえず先輩の紹介などで来て、色々な業界の会社を受けながら
当社に入った人のほうが多かったのです。
重要なのは、入社後に活躍する人をいかに見抜くかで
そこでテクノロジーの力が活きてきます。
宮内 原石を見抜くのですね。入社後活躍する原石が地方にもいると。

内々定まではデジタルに。内々定後のフォローは手厚く

宮内 私はビースタイルの人事をずっとやっていたのですが
選考のプロセスを通じてその会社への入社動機や愛着を上げていくという面もありました。
このケースではどうフォローしているのですか。
江崎 選考フィードバック会がポイントになると思っています。
そこで「なぜあなたが受かったか」という明確な情報と
「未来はどうなるか」という情報を与え、イメージを膨らませます。
確かに面接の回数を増やして、選考しながら会社理解を深めるという方法もありますが
地方の学生にとっては、受かるかわからない会社に何回も足を運ばなければならないのは
大きな負担になるので、我々はできるだけ選ぶプロセスは縮めて
内々定後に情報提供の時間を多くしようと考えています。
宮内 分けてしまうと。
江崎 はい、受かった会社なら会社理解に時間をかけてもいいだろうという考え方です。
もし会社訪問を希望していたら
東京に来る機会があった時に「来てもいいよ」と言って
オフィスを見せようと思っています。
宮内 当社も同じ考え方ですが、まったく逆で、選ぶのは最後だけで
その前はずっと動機付けです。こちらからは断らず、イヤなら途中で
学生自ら離脱するだろうという考えで、選考は最終面接だけ。
というのも、中途半端に選考しながら、動機を上げるのはかなりのスキルが必要なので
現場のメンバーやマネージャーにやらせてもうまくいかないんです。
動機を上げるのが得意だと選考が甘いし、選考はするけど
動機を上げられないというタイプもいてとても非効率です。
それで、分けて面接も廃止しました。
江崎 入りたくなったら「最終面接に行って」という形ですか?
宮内 いくつかのプロセスはあって、それは受けないといけないですが
こちらからは「ノー」とは言いません。何回も呼ぶので、江崎さんのおっしゃる通り
地方の学生は来られませんね。そのデメリットはあります。
一方で、学生さん側にも「人に会いたい」というニーズがありますよね。
そこはどうされていますか?
江崎 それも選考後のプロセスで、まず人事が会いに行き
そのあとに東京に来てもらって、社員に会わせるなどを予定しています。
宮内 そこも内々定後に手厚くフォローするんですね。

以上が、セプテーニ・ホールディング様のインタビュー記事の前編になります。

次週後編をお送り致します。
江崎氏、斎藤氏、奥迫氏の3名より
性格別の相性判断や自社の新卒採用で活用をしている実態について説明いただきます。