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2020/07/09

緊急事態宣言後は完全出社禁止!経理部門も月3~4日程度の出社に。

株式会社ABEJA様は、2012年に創業した、蓄積されたデータからディープラーニングをはじめとするAI(人工知能)を多様な業界・シーンに実装する事業を展開する企業です。
日本のAI企業では珍しく独自のAIプラットフォームをクラウド上に持っており、これまで250社以上の企業のAI実装を支援した実績があります。2018年には日本のスタートアップで初めて、米Google社から出資を受けるなど、今大注目の企業です。

今回は、ビースタイルの「スマートキャリア」を在宅でご活用いただいているABEJA様の管理部門責任者 森田氏と経理部門 山口氏に「経理部門における在宅勤務」をテーマに、オンラインでお話をお伺いました。

[今回お話頂いた方のご紹介]

―事業についてお伺いできますか?

森田氏 ABEJAでは、「一気通貫したAIの導入支援や「ABEJA Platform」の提供を行うPaaS事業、「ABEJA Insight for Retail」を提供するSaaS事業の2つの事業を展開しております。「ABEJA Platform」はAIの開発・運用に必要なプロセスを最小化するための機能を提供しています。「ABEJA Insight for Retail」は、小売/卸売AI市場 でシェアNo.1(株式会社ミック経済研究所調査2019年)の店舗解析SaaSです。店舗に設置したカメラやセンサーで取得したデータを解析し、来店人数や店前通行人数、お客様がリピーターかどうか、お客様がどのように店内を回遊したか、などの情報を可視化することができるサービスです。

 

1.BeforeコロナとAfterコロナで変わった在宅勤務実施状況

―新型コロナウイルス感染症、以前/以後で御社の在宅勤務実施状況にどのような変化がありましたか?

山口氏 新型コロナウイルス感染症流行拡大以前から、もともと正社員は、在宅勤務を週2日まで出来る制度がありました。しかし、管理部門ではそこまで在宅勤務が実施されていませんでした。私も2週間に1回する位だったかなと思います。
逆にエンジニアは制度をフルに使って週に2日在宅勤務をやっているメンバーが多かったです。また、地方在住で週5日間在宅勤務が前提の社員もいたりしましたね。
森田氏 新型コロナウイルス感染症流行拡大以降は、会社全体で在宅勤務推奨を2月末からして、3月末から原則出社禁止に。緊急事態宣言後の4月9日以降は、完全出社禁止にしています。スピード重視で、まずは出社禁止にした上で、何か困ったら都度対応するというスタンスでやっていました。
3月末に原則出社禁止にしたタイミングで、管理部門では完全在宅勤務への移行の準備を急ピッチでスタートしました。
まず、完全在宅勤務を成立させるために必要なことをリスト化しました。請求書や立替経費申請のオンライン化、代表電話への問い合わせ対応、オフィスのコーヒーサーバーの入れ替え対応、これまで支払っていた交通費の取り扱いなど、対応が必要なことは多岐にわたりました。管理部の中で意見をもらいながら、対応方法を決め、4月9日緊急事態宣言がでたタイミングで、ほとんどのメンバーは一気に完全在宅勤務体制に切り替えることができました。
ですが、管理部門にはまだ止むを得ずに出社しなくてはいけない仕事が残っていました。例えば、法務の場合は契約書の対応や、経理の場合は証憑の紙での保管などです。そのため、管理部門については、一部出社を認めざるを得ませんでした。

 

2.経理部門における在宅勤務の導入~運用


※今回、オンライン取材をさせていただきました。(上段:スマートキャリア編集部)

―経理部門については在宅勤務実施状況はいかがですか?

山口氏 ここ最近は、月3〜4日ぐらい出ていますね。営業日数が20日だとすると、16~17日は在宅勤務をしている状態です。出社が必要な業務は2つあり、1つは月次決算ですね。月初の5営業日中、後半の2営業日に出社して、紙で届く請求書の対応をしています。弊社が発行する請求書は完全にペーパーレス化していますが、弊社が受け取る請求書は、全部ペーパーレスにすることが難しいです。
もう1つ必要な業務は、月末の委託先・外注先への支払いデータの作成業務です。元データが紙なので、月に1日程度出社してデータ作成をやっています。本当はペーパーレス化できるかもしれませんが、今のところそこまでやらなくていいよねという状態です。

―請求書のペーパーレス化はコロナ以前から進めていましたか?

山口氏 もともと、クラウド型請求書ソフトを使っており、そこからPDFを出して、紙に印刷していました。コロナで出社するのが難しくなったタイミングで、基本的には請求書はPDFでお送りするようにしています。

―お客さん側に理解いただくこと大変ではなかったですか?

森田氏 数社は紙で欲しいとおっしゃるお客様もいらっしゃいましたね。そこで、営業担当に「普段お送りしている請求書も本物のハンコは押印しておらず、データで作ったものを印刷したものです。御社にデータでお送りをして印刷をしていただく形でも以前と同じものが手に入ります。」とお客様に交渉してもらい、5月頭には弊社から送る請求書は全てペーパーレスになりました。
山口氏 副次的な効果にはなりますが、通信費削減にもつながりました。特にSaaS事業部の取引先は多いため全て郵送で送るとある程度のボリュームになっていたので、経費の節約になりました。

―新たにツールを導入しなきゃいけないって事はございましたか?

山口氏 特にはないですね、社内業務に関してはほぼクラウド化していたので、もともと在宅で働くことはある程度前提とした業務構築は出来ていたのかなと思います。

―新型コロナウイルス感染症、以前/以後で御社の在宅勤務実施状況にどのような変化がありましたか?

森田氏 在宅勤務に切り替えることで「請求書が届いているのに開けられていない」、「請求書が経理に届かない」などが発生するかと思っていましたが、山口君はどうカバーしてたの?
山口氏 そうですね、以前は郵便物を宛先の人に配布してその後に経理に持ってきてもらうフローだったのですが、それがなくなり、経理に全ての郵便物を集約して、経理が中身を開封して確認することになったので、むしろコロナ以前よりは漏れが少なくなりました。
森田氏 個人に渡す前に経理が開けるから、個人が懐に隠したまま出してこない状況を防げるということですね。
もともと、経理では定期的に支払いが発生するものについてはリスト化をしていました。また、単発の支払いや新規の支払いについても、事前に担当者に申請をしてもらうようにしていました。申請システムで経理を確認者に含み、担当者は申請をしているため、経理では新しくお金使う可能性があるものをいつ・どの位使うのか、全部把握しています。
なので、月末に届くはずの請求書が届いていない場合は、「毎月発生するこの支払って、今月はないですか?実際に使ったなら請求書出してください。」と担当者にプッシュするなど、支払い漏れを防ぐ仕組みを経理の方で回してくれています。
山口氏 色々ミスを抑える仕組みは設けているので、請求書提出の漏れは、最近無くなったかと思いますね。森田が言ったように毎月支払い発生しているものは、経理で履歴を見ればいいし、これから発生するものも、ワークフローシステムで網羅されており、こちらで記録が取れています。発生月も全てスプレッドシートにまとめており、毎月、月初に請求書提出がなければ注意喚起してと、そこはコロナ前/コロナ後でも変わらず上手く回っています。

―ほかに変わった業務フローはありましたか??

山口氏 以前は、郵送で来た請求書を担当が受け取り、それにワークフローのシステムで発行されたID を記載して、経理に紙で提出していました。管理部の席の辺りに請求書提出ボックスがあって、毎月、月初になると凄まじい量の紙が投函されていました。今は、担当者が請求書のPDFデータをメールで受け取り、それを経理のアドレス宛にIDと併せて転送する運用にしています。勿論、後者の方が生産性が高いので、オフィスに出社する体制になったとしても、このやり方を継続したいですね。

―マネジメントや教育、コミュニケーション上で問題は生じましたか?

山口氏 経理で日常的に業務をまわしているのが、私とビースタイルの「スマートキャリア」のスタッフですが、「スマートキャリア」のスタッフは自走できる方なので、チャットツールを通じて業務の進捗確認さえできれば、日常業務に支障はありません。

教育については、これからは、新しいお仕事をお願いしたい時に対面でお伝えできないことを前提に考える必要があると思っています。これまでは、対面でいつでも私に質問できることが前提の「ほとんど文字だけのマニュアル」でした。ですが、在宅勤務だと私に対面で確認をとることが難しくなるので、画像・作業をキャプチャでとって添付し、視覚的にわかりやすいマニュアルを作成しています。

経理業務は、属人化は避けないといけないので、「あるべきマニュアル・業務手順書」を見つめなおす、いいきっかけになりました。
マニュアルの作り直しは発生しましたが、業務上の制約や障害はあまり生じていないですね。ただ、在宅勤務だと、スタッフの方と直接顔を合わせて話す機会がほとんどありません。お互いのことを知るという意味でも、たまには軽くお話し・雑談したいなとは感じてますね。

―スマートキャリアスタッフの業務管理については?

山口氏 基本的には、定常的に発生する業務を「スマートキャリア」のスタッフにはお願いしているので、1か月間の業務の具体的なスケジュールは決まっており、それをベースに、進捗報告はチャットツールでして頂いています。チーム全体のタスク管理はスプレッドシートを作り、それを私が管理をしていますね。経理部の出社日は、出社時間はズレますが、完ぺきに合わせています。

―今回、一斉に在宅勤務するにあたり、システム構築やセキュリティ対策で困ったことはございましたか?

森田氏 元々週2は在宅勤務OKな状況で、それが週5になっただけなので、特に問題なかったかなと思いますね。また、この夏はオリンピックの予定もあり、その期間は交通もマヒして出社できないだろうということで、情シス担当の提案で、2月に2日間、全員在宅勤務の実験を実施していました。計画当初はコロナウイルスの感染拡大は想定していませんでしたが、タイミングがよかったです。その実験に向けて、セキュリティソフトを全員の PC に絶対入れるなどしていたので、全社員が完全在宅勤務になってもいけるような状況をもともと作れていたんです。

 

3.Afterコロナにおける在宅勤務について

―今後は在宅勤務/出社どのように取り入れていきますか?

山口氏 経理部門の現在の人員体制・業務体制から考えると、月3~4日出社は変える必要はないかなと思っています。
完全にペーパーレス化して、完全在宅勤務が可能な体制をつくるためにはものすごく労力がかかると思いますが、その割には大したコスト削減にならないと思っています。また、私もスタッフの方も月の数日の出社が良い気分転換になっているとも感じます。

―森田様はいかがですか?

森田氏 そうですね、新型コロナウイルス感染症のリスクがある期間と、リスクがなくなった後の期間で分かれるかと思っています。リスクがある期間は、現状のままを維持する予定で、リスクがなくなった時、どうするかは考え中です。
今のオフィスの契約が年内で切れるため、「誰もオフィスにいないのに更新をする必要あるのか?」は検討しています。具体的には、座席数を3分の1にして、出社したい人は出社を、在宅勤務したい人は在宅勤務を選択できる形を想定しています。 これは、コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、理想の働き方を考えた結果です。家で仕事をやりたい時もあれば、集中出来ないから会社に行きたい時もあるかもしれない。通勤時間を削減して、家族との時間や自分の趣味の時間を大事にしたいかもしれない。社員一人一人が、自分に合った環境を選べる働き方ができたらいいなと考え中です。

 

4.今後の展望

―今後の展望についてお伺いできますか?

森田氏 今後はより一層「全員が同じ場所にいて、全員が手を動かすのではなく、自動化する・効率化する」仕組みが求められていくのではと考えてます。 以前から、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性は言われていましたが、これが夢物語ではなく、より現実に差し迫った問題になってきていると思います。DXは、一部の進んでいる会社だけでなく、どの会社にとっても当たり前に。そういった意味で、テクノロジーを扱う会社としてはより多くのお客様とお付き合いをさせていただくチャンスがさらに広がっていくと思っています。

今回取材した企業様

■社名
株式会社ABEJA

■事業内容
ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業

■従業員数
81名(2019年8月末時点)

■設立
2012年

■URL
https://abejainc.com/ja

ご利用サービス

■派遣スタッフ
週3~5日、1日6時間以上勤務(2020年6月現在)
月次決算・仕訳入力・請求書の発行、支払処理

■スタッフの業務経験
BS/PL、予実管理、月次決算のご経験あり
直近は外資IT企業にて経理経験
英語での実務経験が豊富で海外子会社とのやり取りも担当

※本資料は2020年6月に作成されたものです。掲載されている各種情報は作成時点のものです。

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