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2018/05/21

イベントレポート:優秀な人材を採る(後編)〜優秀なミドル層人材の採り方、活かし方〜

前編では、「優秀な若手人材の採り方、活かし方」と題し、
サイバーエージェントの取り組みを中心に、若手人材の採用についてお届けしました。
>>前編はこちらから

後編となる今回は、今後の人事戦略の大きなカギとなる、
「優秀なミドル層人材」の採用と定着についてお届けします。

【登壇者紹介】

曽山哲人さん
曽山哲人さん
株式会社サイバーエージェント 取締役・人事統括
上智大学卒業後、伊勢丹に入社。紳士服配属とともに、通販サイトの立上げに参加。
1999年サイバーエージェントのネット広告の営業担当として入社。 営業統括に就任。
2016年より現職。
三原邦彦
三原邦彦
株式会社ビースタイル 代表取締役会長
芝浦工業大学卒業後、インテリジェンスに入社。
2000年同社子会社のECサーブテクノロジー(のちに統合)の代表取締役に就任。
2002年ビースタイルを創業し、2017年より現職。

 

ミドル層の女性人材を活用する新たな発想が、企業の将来性をもつくる。

― 今後、労働人口の要となるのは、45〜74歳のミドル層。若手の育成もさることながら、優秀なミドル層の採用と定着も人事戦略の大きな鍵となりそうですが、その点についてはどのように考えておられますか。

三原 そうですね。確かに、労働人口はとにかく減少しており、2020年のオリンピックイヤーは、女性の2人に1人が50歳以上に。さらに2028年には65歳以上の人が人口の3分の1を占める、そういう時代になっていくんですよ。
曽山 60歳代がピークだなんて、すごい!
僕らはまだ平均年齢が31歳なのですごく若いほうだと思いますが、ちょうど先週の役員会で、「10年後を見据えた採用計画も、一度しっかり議論したほうがいいね」という話をしたばかりなんです。この人口動態を見ると、今後、新卒をたくさん採るというこれまでの採用のスタンスも変わっていくような気がしますね。
三原 まさにおっしゃる通りで、若年層の採用と同時に、ミドル層の人たちをどう戦略的に活用していくかがとても重要だと感じています。
曽山 ミドル層の活用というと、ビースタイルが得意とするところかと思いますが、いかがですか?

 

優秀なミドル層が持つ、プロ級の向上心

三原 はい、ありがとうございます(笑)。優秀なミドル層について、少しお話をさせていただきますね。現在、派遣スタッフの平均年齢は39.8歳。いわゆるアラフォー世代が中心です。総合職採用が本格的になる前の世代なので、いわゆる一般職でキャリアを積まれた人や、子育てなどによるブランクがある人も多いのですが、優秀で向上心の高い人材が実に多い。それは、隙間時間を見つけて勉強したり、自主的にセミナーに参加してスキルアップを図ったり、そういった学習意欲の高さからもうかがえます。
曽山 なるほど、学習意欲の高い人が優秀なミドル層女性には多いんですね。
三原 はい。平昌オリンピックで羽生結弦選手が金メダルを獲得後、次の目標を聞かれていましたよね。僕はてっきり3連覇を狙うのかと思っていたのですが、「今度は4回転アクセルをやりたい」と。あれはまさに優秀な人の発言だなーと心から思いましたね。自分の技術や実力をさらに磨くことにすごく貪欲じゃないですか。優秀なミドル層女性もこれと同じなんですよ。学んで、もっともっと成長して変化したい。こうした人材を活用するために、柔軟性をもった働き方を開拓していきたいと思っています。
曽山 雇用形態の柔軟性も必要、ということですね?
三原 そうなんです。優秀なミドル層女性は、自身のライフスタイルや、なんらかのテーマを持っている人が多く、いわゆるフルタイム勤務が難しいという現状があります。ライフワークやフリーランス仕事との両立、家庭との両立、スキルアップを目指した資格の勉強や通学との両立など、実にさまざま。そのため、フルタイムの正社員雇用だけにとどめない柔軟な働き方が求められていますね。

 

優秀なミドル層の採用において、企業が求められること

曽山 採用する側としては、いわゆる副業OKも含めて検討するということですか?
三原 はい。たとえば「週3日だけ、カラダを貸してください」という風に。企業が新たな取り組みをするときって、ブレーンワークが多くて実務が少ない分、逆に言うと週5日はいらないときってないですか?週3日だけブレーンを借りられたら、いい戦略を立てたり、新たな取り組みができたりする。つまり、Wワークの容認や、勤務日数を週3にするといった柔軟な働き方を提供すれば、お互いにとってプラスになるんですよね。
曽山 なるほど……。
三原 それから、優秀なミドル層女性の場合、単純に報酬がいいだけ、とか、なんとなく自分のスキルが活かせそうというだけではなく、企業理念やビジョンへの共感も仕事選びのポイントになっていますね。
曽山 なるほど。大学生も企業活動に社会性を求めるようになってきているんですけど、まさにミドル層メンバーの方々も同じなんですね。ちなみに、その社会性があるというイメージを持たせるために、心がけていらっしゃることはありますか?
三原 会社のなかで、いい意味で「まじめな雑談」の機会をつくるようにするだけでも全然変わってきますし、あとは外部の人たちとの交流を促進したりとか。まずはそんなアプローチでいいと思います。
曽山 たしかに、エンジニア採用においても、勉強会の頻度についての質問が多いです。勉強会やコミュニティをつくったり、参加してもいいという風土は、モチベーションづくりに役立ちそうですね。
三原 これまでの経験を活かすことも大事ですが、経験そのものをどんどん更新していく、という挑戦もあると思うんですよね。更新する意欲ないし、そういう機会があるのは、ミドル層においてもとても重要なんだと実感しています。

 

優秀人材の定着は、企業が「人」にどれだけ時間を費やしているかに比例!?

― 続いて、優秀人材を逃さないようにするための施策をお聞かせいただけますか。

曽山 優秀な人材に定着してほしいというのは、当然、僕らも思っていますよ。そのときに、一番重要なことは何かと言いますと、「優秀な人についてだけ話すこと」。これをやることがすごい大事! でも、「優秀な人についてだけ話す機会」って、意外とないんですよね。
三原 ほお! 言われてみたら、確かにないですね。どんな感じなんですか?
曽山 たとえば、サイバーエージェントには「人材覚醒会議」というのがあります。これは、役員会8人で構成されていて、管理職以上の約200人の資料・顔写真付きの名簿を見ながら、このなかで埋もれていたり、光が当たっていない人はいないか、確認するんです。全社資産としての幹部を最大限に活かしていくためにはどうするのか、を考えるきっかけを提供するだけなので、時間も20分くらいで終わってしまうんです。ところがのちのち、抜擢人事でその会議で名前が挙がっていた人が登用されることも。
三原 経営においてとても重要なことは、やっぱり経営者が「人」のことにどれだけ時間を取っているか、ですね。でもなかなかできていないというのが実情なんでしょう。
曽山 辞めそうな社員や、悩んでいる社員とか、比較的ネガティブサイドの名前ってすぐに出るんですけど、ポジティブサイドのほうも時間をかけなくちゃいけなくて。今、トップになっている人材をちゃんと活躍できる環境において、しっかりと配置を考えることは大切ですね。
三原 会社の資産について話し合うのと同じですね。

 

企業ニーズに合わせて、優秀な人材をフレキシブルに調達する「戦略的傭兵採用」とは?

三原 一方、優秀な人材を逃すまいと策を尽くしても、人生100年時代になりますと、能力の高い人たちがずっと同じ会社に残り続けるというのは少なくなってくるのではないか、とも感じています。会社のような縦型キャリアにおいて、ある程度の経験や人脈という、自分自身の資産ができると、資産そのものをマイカンパニーと捉え、横にキャリアを醸成していくのが今の時代。
ならば、今の会社・人員構成を1つの軍に見立てたとして、そのときどきの戦略に合わせて必要なスキルや経験を持った人材の力を借りる、いわば「傭兵」として採用していくという発想も良いのではないか、と考えています。
曽山 「傭兵」という表現はあえて使っていらっしゃるんですよね?
三原 もちろんそうです。経験や人脈を自分自身の資産として自覚しているプロ意識の高い人、という意味合いです。たとえば、フランチャイズなどで新店舗の立ち上げを多く経験して、それを得意としてキャリアを築いてきた人材って、立ち上げがある程度落ち着いてしまうと、その会社では宝の持ち腐れ状態になってしまいますよね。ただ、別の企業にとっては、喉から手が出るほど欲しい人材だったりもする。そこに対して、自身のスキル・経験を活かして横にキャリアを展開しようとする人材を傭兵的に採用すると、双方にとってメリットがあると思うんですよ。
曽山 そう言われてみたら、僕たちも経理のスペシャリストやフリーランスのエンジニアとか、傭兵的な採用をしていますね。
三原 今後は、そういった何か特別な専門職だけでなく、営業や事務職など、実務をベースにしたほとんどの職種で、傭兵的な採用が増えてくると思います。
曽山 なるほど。
三原 そう考えたときに、優秀なミドル層女性を戦略的に採用するのがとてもいいんじゃないかと確信を持っています。私たちが提供しているスマートキャリアのスタッフは、専門的なスキルと豊富な経験を持った方が大半。加えて先ほど申し上げたとおり、自身のライフスタイルを大切にしながら、単にお金を稼ぐだけでなく、社会性も求めている人がほとんどです。こうした自立した意識の持ち主でないと、戦略的傭兵という、企業の重要な役割は務まらないと考えています。
曽山 それでは、経営において、何かの職種を強化しようと思ったら、優秀なミドル層を傭兵として戦略的に採用することも考えればいいですね。
三原 実際、派遣・紹介先のお客様からは、ご満足いただけたという声を多数いただいておりますし、自信をもっておすすめしますね。

以上、前編・後編の2回に渡って、イベントの模様をお届けしました。

ビースタイルでは、今後も定期的なイベントの開催を予定しております。
興味のあるテーマやご希望などがありましたら、ぜひお声がけください!

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